第5回 心と体はつながっている

自然治癒力の最大化。病は心と体の両方から治していく


人の体は一つなのに、病院にかかるとき、医療機関には「科」が多すぎてまずどこに行ったらよいかわからないときがありますよね。

現代医療は、医学の細分化が進み、目が痛ければ眼科に、お腹が痛ければ消化器内科に、不安やネガティブ思考が強くなったら精神科に、というように症状により訪れる機関が異なります。

 

しかし、目が痛い原因が目だけにあるとは限りませんし、精神疾患も心だけが原因ではありません。

 ここ数十年の間に、心と体の関係を探求する学問「精神神経免疫学」というのが発展してきたことにより、病の本質というのが見えてきました。(ここでいう心は、脳による感情や思考のことです。)

我々は、病を克服していくためにも断片的なものの見方をやめ、もっと「全体」をみる必要があるのではないでしょうか。

 

からだを二つに分けたデカルトの心身二元論

デカルトの心身二元論は、心を精神領域・肉体を身体領域とに分けた概念を現代まで定着させてきました。

しかし、人の体は一つの万能薬で解決できるほど単純なものではありません。

 

精神神経免疫学では、デカルトの心身二元論に基づいた西洋医学の反省に立ち「真の治癒力は患者自身に備わっている」という前提のもと、心身医学の再発見を興しています。

これは「健康は、自分自身の内部や環境と調和がとれたときはじめて実現される」という言葉を残している医学の父、ヒポクラテスの思想への原点回帰とも言えます。

そもそも、治癒(healing)という言葉は、ギリシャ語の ”本来あるべき姿に戻る” ”全体の” という意味を持つ言葉(holos)が語源になっています。whole という英単語は、"全体の" という意味を持ちますが、wholesome という言葉は "健康な" という意味を持ちます。

 つまり治癒のためには、心と体のバランスがとれているか全体を見ることが大切なのです。

 

では、心と体をつないでいるものはなんなのでしょうか?

まだはっきりとは分かっていませんが、少なくとも「免疫」がかかわっています。

 

免疫という渡し舟

心と体をつなぐものの一つに「免疫」があります。

それがどのように心や体に影響を与えているのかを、「うつ病」を例にみていきます。

 

免疫を簡単に言うと、私たちの体に備わっている生体防御機構です。外からの細菌やウイルスという外敵の侵入時に、即座に対応してそれらを体外に排出させることにより私たちの体の健康を守ってくれています。

しかし最近では、食品や環境から体内に取り込まれる化学物質が増えたことや、穀物や野菜に含まれる有害成分の摂取などで、免疫の仕事が増えて毎日残業というような状態がおこります。免疫のお仕事は、体内に入ってきた外敵をやっつける(これを炎症と言います)ことなので、仕事が終わらずにいると体内での炎症が長引きます(これを慢性炎症と言います)。

 

慢性炎症では、全身で微弱な炎症が続いています。それは、脳にまで広がっていきます。

脳の中で炎症がおき、感情や考え方が直接影響を受けた結果「うつ病」が発症しているのです。(下記の画像参照)

そのため、慢性炎症の疾患(とくにⅡ型糖尿病)を持つ人では、うつ病を併発する人が多いという報告があるのです。

 

ストレスと向き合う

脳と全身を免疫がつないでいる、ということはなんとなく分かっていただけたかと思います。心の病も体の病なのです。

そのため、改善していくには ①炎症を沈めること ②ストレスを対処すること が重要になります。

 

炎症を沈めることに関しては、こちらで詳しく書いているのでここでは割愛させていただきます。>>炎症を沈めるには

 

「不安・無力感・葛藤・情報不足」などのストレスにより、精神的な刺激があると、視床下部→下垂体→副腎、と刺激が伝わりコルチゾールが放出されます。

慢性的にコルチゾールが多い状態では、脳が委縮していくことや、免疫力の低下につながることが報告されています。

 

生理学者であったハンス・セリエは「ストレスは本来の自分ではない人間の役割を否応なく果たさなければならないという思い込みから生じる」という言葉を残しています。

 

・誰かの期待に添おうとしていないか?

・何かを犠牲にしていないか?

・心の底から正直に生きているか?

・どれだけが自分のためで、どれだけが相手を喜ばせるために必要だと思い込んだ自己イメージか?

 

と、今一度自分を見つめ直してみて下さい。

 

 

治癒への道

 

病は心と体のバランスが乱れた状態です。

バランスを乱しているものは何か、なぜ自分が今病気にかかっているのか。

過去を振り返るなどの自己洞察をしていくと、自分を健康にするためにとるべき道が見えてくると思います。

 

人は誰でも自分で病を治していく自然治癒力を持っています。

心と体の両面からのアプローチは、あなたの自然治癒力を最大限引き出してくれるでしょう。

 


 

参考図書

・「うつは炎症でおきる」エドワード・ブルモア

・「内なる治癒力」スティーブン・ロック

・「笑いと治癒力」ノーマン・カズンズ

・「身体がノーと言うとき」ガボール・マテ

・「共感力が高すぎて疲れてしまうがなくなる本」ジュディス・オルロフ