ビタミンDを多く含む食品を探すより効果的なビタミンDの摂取方法を解説!


低血圧や花粉症の改善、免疫力を高めるならビタミンDを増やそう!

これは、その多機能な生理作用を持つことから別名「長寿ホルモン」と呼ばれるビタミンDの恩恵を受けたとある家族のお話です。

 

 

この家族のお父さんは、血糖値が高く、仕事をしていてもすぐに疲れてしまいます。

インスリンの感受性を高めて、もっとエネルギッシュに働きたいと思っていました。

 

お母さんは、重度の花粉症で、毎年春先にはくしゃみと鼻水が止まりません。

 

高校に通う長女は、学校の授業で、将来的に女性の方が自己免疫疾患にかかりやすいと知り、

今からできる予防法はないかと勉強をし始めました。

 

中学生の長男は、夜更かしせずにしっかり寝ているのに、血圧が低くて毎朝なかなかすっきり起きられないことで悩んでいました。

 

 

 

家族がある晩、夕飯を食べながらテレビを見ていると、たまたまやっていた健康番組で、ビタミンDの話題がとりあげられていました。

 

 

家族は、「ビタミンなのにホルモン?」「長寿ってことは健康に良いのかしら?」と、興味を持ち始めテレビを食い入るように見始めました。

 

ビタミンDには、D2~D までの6種類が存在しているが、主に私たちのからだに作用するのは、ビタミンD2とビタミンD3の2つです。

ビタミンDは、食べ物から摂取する植物由来のもので、ビタミンD3 は、私たちの皮膚から合成されるものです。

私たちのからだに必要なビタミンDの9割以上は、皮膚からの合成によりまかなわれています

 

ビタミンDの合成

ビタミンDは、食事では魚介類や干ししいたけから多く摂取でき、皮膚に太陽の光(紫外線β波)が当たることでも合成されます。

ビタミンDは、非活性型ビタミンD [ 25(OH)D ] として摂取、合成され、肝臓と腎臓を経て活性化されたのち、活性型ビタミンD [ 1,25(OH)2 ]となります。

 

 

「なんだか、名前は難しいけど、ビタミンDには活性型と非活性型があるのね。非活性型にも生理機能はあるのかしら?」

 

 

 

 

活性型ビタミンDのはたらき

骨や歯の強化

活性型ビタミンDは、食品などからカルシウムやリンを吸収するのを促すはたらきがあります。

小腸において活性型ビタミンDは、カルシウムを腸粘膜へ運搬するカルシウム結合タンパク質をたくさん作るようにはたらきかけます。

そこでたくさん作られたカルシウム結合タンパク質が、カルシウムに結合し、腸粘膜へ運 び、粘膜からカルシウムが吸収されます。

吸収されたカルシウムは血液中に流れ込み、カルシトニンという甲状腺ホルモンのはたらきによって骨や歯に沈着 します。

このように骨の主要成分であるカルシウムが効率よく吸収されることで、丈夫な骨や歯を維持できます。

 

 

自己免疫疾患の予防

免疫とは、自己と非自己 (病原菌やウイルス) を識別し、非自己を排除する生体防御システムです。

そのシステムの一つとして 、T 細胞による非自己の攻撃・排除という免疫反応があります。T 細胞は、通常作られる過程で自己を認識して攻撃する可能性のあるものは除かれます。しかし、なんらかの原因でここで自己を認識する T 細胞が排除されないと、非自己だけでなく自分の体内に必要な物質までも攻撃してしまい、慢性的に炎症がおこります。これが自己免疫疾患です。

自己免疫疾患には、Ⅰ型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本病、潰瘍性大腸炎などがあります。

胸腺での T 細胞の選択は、100 % の正確性がないため、自己に反応してしまう T 細胞も少なからず産生されます。活性型ビタミンD は、ビタミンD 受容体を持つ T 細胞の受容体に結合し、それにより自己に反応しておこる過剰な免疫応答を抑制するはたらきがあります。

 

「そうなのね。私も活性型ビタミンDが不足しないようにしていれば、自己免疫疾患になるリスクを減らせるわね。」

 

 

 

 

高血圧の改善

また、活性型ビタミンDは、腎臓で*レニンの合成を抑制することにより、高くなった血圧を下げるはたらきをします。

 

*レニン

血管収縮作用、血中のアンジオテンシンを活性化させて血圧を高める作用がある。

 

非活性型ビタミンDのはたらき

 カルシウム濃度を維持

非活性型ビタミンD には、血液中のカルシウムイオンの濃度を維持するはたらきがあります。体内のカルシウムの約 99 % は骨や歯に蓄積され、残りの 1 % はカルシウムイオンとして血液などの体液や筋肉に存在しています。

筋肉の収縮は、筋肉に存在するカルシウムイオンによって調節されています。

筋肉は筋原線維からなり、その線維を構成しているのはアクチンとミオシンというタンパク質です。筋肉は、アクチンとミオシンがスライドすることにより収縮します。そして、この収縮を調節しているタンパク質がトロポニンです。トロポニンは、カルシウムイオンと結合し、筋肉を収縮させるというスイッチの役割をしています。

非活性型ビタミンD によりカルシウムイオンの濃度が一定に保たれることで、骨格筋の収縮力が増強し、筋力が強化します。また、心臓を動かす筋肉である心筋のポンプ力も増強し、低血圧を改善します。

ビタミンDが不足すると

ビタミンD が不足すると、血中のカルシウム濃度が低下します。

 

筋肉は、細胞内にカルシウムイオンが流入することで収縮するため、カルシウム濃度が低下すると筋力が弱くなります。

 

心臓の筋肉が弱くなると、血液を全身に送り出す力が弱まるため、血圧が低くなります。

 

全身に血液が行き渡りにくくなるため、多くの細胞でエネルギーと酸素が不足します。そのため、疲労やだるさ、むくみなどの症状が出てきます。

 

さらにビタミンD が欠乏状態まで達すると、骨の痛みを感じるなどの症状が出て、骨軟化症やくる病、骨粗鬆症になります。

そして、背骨や関節が変形したり骨折しやすくなったりします。


 

「僕は、低血圧だから非活性型ビタミンDが足りていないのかもしれない。」

 

 

 

 

 

 

インスリン感受性を高める

インスリンとは、血糖値(血中ブドウ糖濃度)を下げる作用を持つホルモンで、ブドウ糖を摂取することで分泌されます。このとき、非活性型ビタミンD はインスリンの分泌を促し、細胞のインスリン感受性を高めるはたらきをします。

これにより、高血糖が防がれて、動脈硬化をはじめ、高脂血症や肥満、糖尿病の予防につながります。

 

 

「お父さんも非活性型ビタミンDが足りていないのかもな。血液中の非活性型ビタミンDが十分な人は2型糖尿病の発症リスクやインスリン抵抗性が低いという報告もあるみたいだな。」

 

  

いくつかのがん予防

乳がん、皮膚がん、大腸がん、骨がんを含む多くのがん細胞では、ビタミンD 受容体を発現していることがわかっています。この受容体にビタミンD が結合すると、がん細胞が生存するために必要な細胞分裂、分化などが抑制され、細胞の自発死(アポトーシス)を誘発します。

コホート研究において、137,567人を対象とした16の前向き研究の総括とメタ解析により、血液中の非活性型ビタミンD 濃度が 20 ng/ml 増加するごとに、がん全体の発症率が 11 % 減少し、がんによる死亡率も 17 % 減少することが報告されています。

 

認知機能を高める

非活性型ビタミンD は、神経細胞を保護する作用もあり、神経細胞の変性や、アルツハイマー病の原因因子であるアミロイドβ の蓄積を防ぎます。

そのため、認知症やアルツハイマー病、パーキンソン病などの予防になります。

 

呼吸器感染症の予防

非活性型ビタミンD は、免疫系を活性化するはたらきもあります。

感染症を引きおこす病原体を殺す「カテリシジン」という抗生物質を合成します。

そのため、風邪やインフルエンザ、肺炎、結核などの予防になります。

 

アトピー性皮膚炎の改善

非活性型ビタミンD は、皮膚の抗菌作用を強め、化膿菌の増殖を抑えるはたらきがあります。

 

心血管疾患の予防

非活性型ビタミンD は、血管壁を保護するはたらきがあり、動脈硬化や血管内皮障害を防ぎます。

そのため、高血圧、冠動脈疾患、心不全、脳卒中などの予防につながります。

 

「お母さんの花粉症もビタミンDで改善されないかしら?」

 

  

 

 

ビタミンDと花粉症

花粉症は、体内の免疫に花粉が異物とみなされることでアレルギー反応がおこります。花粉を攻撃している細胞は、何年も存在しているものがいるため、毎年毎年花粉にさらされると症状が悪化していくのです。

近年では、上述したビタミンDの作用により、ビタミンDが免疫反応を正常化するようにはたらくことで、花粉症の症状改善につながると考えられています。

ビタミンDが不足している人に、ビタミンDのサプリメントを飲んでもらったところ、鼻通りなどの症状が改善されたという報告もあります。

ビタミンDの検査

ビタミンD が足りているかは、血液検査で非活性型ビタミンD [ 25(OH)D ] の項目を測定してもらうことでわかります。基準値として、 20~100 ng/ml が正常値、 20 ng/ml 以下が欠乏症とされていますが、20~30 ng/ml は不足状態です。

ビタミンD の第一人者であるボストン大学のマイケルホリック博士の研究では、

ハワイ住人の大半がビタミンD 不足に陥っていることがわかっています。

また、20 代の日本人女性の平均ビタミンD 量が、60 代の日本人女性の約半分量ほどしかないこともわかっています。その主な原因は、日中に屋内にいて、陽に当たらないことです。また、陽に当たっていても日焼け止めを塗っていれば皮膚でビタミンD が産生されません。とくに冬場は症状が悪化し、季節性うつになる人もいます。さらに、魚を食べる量が少ないというのも、ビタミンD が不足する原因です。

 

 

 

ビタミンD不足解消法


ビタミンDは、上述したように本当にたくさんのはたらきがあります。

この家族の悩み(高血糖、花粉症、自己免疫疾患、低血圧)もすべて改善させるはたらきがあります。

ビタミンDを増やすためには、食べものからではなく、皮膚からの合成量を増やすことが大切になります。

しかし、ハワイに住む人たちでもビタミンD不足というと、ただ陽に当たればよいというものでもないのです。

また、サプリメントで補いたい場合はどれくらいの量を摂取すればよいのでしょうか?

それを知らなければ、ビタミンDの過剰摂取による別の問題が引き起こされる恐れがあります。

ビタミンD不足解消法では、ビタミンDの摂取目安やビタミンDを効果的に増やしていく方法について解説していきます。

 

 

参考文献

・ Sekiya T, et al. Nr4a receptors are essential for thymic regulatory T cell development and immune homeostasis. 2013; 220- 237.

Lin R, White JH. The pleiotropic actions of vitamin D. Bioessays. 2004;26(1):21-28.

・ Genningloh R, et al. Cutting Edge: Inhibition of the retinoid X receptor (RXR) blocks T helper 2 differentiation and prevents allergic lung inflammation. J Immunol. 2006; 176(9):5161-6.

・MICHAEL F.HOLICK, Ph.D., MD. THE VITAMIN D SOLUTION. ( Hupson Street Press )

・日本微量栄養素情報センター HP >> 免疫システムの概要、ビタミンD 項より

・小学館「サーファーに花粉症はいない」

・ペガサス「ビタミンDは長寿ホルモン」